17人が本棚に入れています
本棚に追加
⑦
校舎の靴脱ぎ場。上靴に履き替えなきゃ。靴箱の扉を開くと、
「上靴がない」
もう、朝からこれだよ。
でも……ちょっと待って。わたしの靴の臭い。ここじゃない所からも臭ってくる。
くんくん。
ゴミ箱の中だ。
わたしは、靴脱ぎ場のすみっこにあったゴミ箱を覗いた。
「あった」
取りだすと、上靴にはわたしとは違う臭いがついている。
くんくん。
これは! タマの子分の舟虫さんの靴箱と同じ臭い。
「舟虫さんが、わたしの上靴をゴミ箱に捨てたんだ」
犯人はわかった。
でも、何で? 何で臭いでこんなことがわかるの。
その時わたしは、ハッとなった。
エイトの能力!
犬の臭いを感じる力は、人の数千倍だというのを聞いたことがあるよ。
エイトと交換した能力は、これだったんだ。臭いをかぎ分ける力だよ。
わたしは、上靴を履いて教室へ。
教室に入ると、後ろの隅で座ってるタマのグループが、わたしの顔を見てヘラヘラと笑ってる。
他の生徒も、しぶしぶ笑い出す。わたしは振り向いて黒板を見たんだ。
そこには、
【里見詩乃は、ドジでまぬけな犬です。わんわん。】
と大きく書かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!