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校舎の靴脱ぎ場。上靴に履き替えなきゃ。靴箱の扉を開くと、 「上靴がない」 もう、朝からこれだよ。 でも……ちょっと待って。わたしの靴の(にお)い。ここじゃない所からも臭ってくる。 くんくん。 ゴミ箱の中だ。 わたしは、靴脱ぎ場のすみっこにあったゴミ箱を覗いた。 「あった」 取りだすと、上靴にはわたしとは違う臭いがついている。 くんくん。 これは! タマの子分の舟虫(ふなむし)さんの靴箱と同じ臭い。 「舟虫さんが、わたしの上靴をゴミ箱に捨てたんだ」 犯人はわかった。 でも、何で? 何で臭いでこんなことがわかるの。 その時わたしは、ハッとなった。 エイトの能力!  犬の臭いを感じる力は、人の数千倍だというのを聞いたことがあるよ。 エイトと交換した能力は、これだったんだ。臭いをかぎ分ける力だよ。 わたしは、上靴を履いて教室へ。 教室に入ると、後ろの隅で座ってるタマのグループが、わたしの顔を見てヘラヘラと笑ってる。 他の生徒も、しぶしぶ笑い出す。わたしは振り向いて黒板を見たんだ。 そこには、 【里見(さとみ)詩乃(しの)は、ドジでまぬけな犬です。わんわん。】 と大きく書かれていた。
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