犬を盗む

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 なんと、優矢はもうすぐ結婚するのだという。 「式は半年後。その前に新居への引っ越しがある。それと…」  悪びれもなくにこにこと話すその態度に、つい咎めるように言ってしまう。 「結婚が決まったのに、他の女と会っていいの?」  すると、優矢は両方の眉を上げて、意外そうな顔になった。 「知ってて連絡してきたんだと思ってたよ」  優矢曰く、結婚が決まった途端に、なぜか女のほうから誘ってくるようになったという。  私もその一人だと思ったようだ。 「不思議だよな。どういう心理なんだろう。みんなこうなのかな」  婚約を発表してからの四か月で、社内の何人の女と関係した、などと言う言葉が優矢の口から発せられて、私はうんざりした気分になった。  その女達と私とで、どのくらいの違いがあるのか、自分でも分からないが。  私の表情で察したのか、優矢はその話題を打ち切った。  代わりに自分の婚約者のことを話し始めた。
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