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 誠が眼を醒ますと、いつの間にか朝が来ていた。それは静かな朝だった。  幽かに、雀の鳴き声が聞こえる。  蒼は疾うに起きていて、眼が醒めたばかりの誠に、一言、おはよう、と言った。 「おはよう。蒼・・・」  誠も寝ぼけ眼で蒼を見上げて言った。  蒼は白い綿の洗いざらしのシャツに、麻の紺色のスラックスの装いだった。細身の蒼に、似合っていた。  彼は華奢で細すぎる蘇芳とは違い、筋肉が均等に付いていて、将来、健全な肉体を持つ青年へと成長することが、約束されたかのような体格をしている。  それに比べると蘇芳は、大人になるまで生きていられるか分からないとまで言われていて、とても病的な様子である。  しかし、その醸し出す儚げな病的さが、蘇芳の魅力でもあり幽玄な美しささえ感じて、彼を見る人は一定数惹き付けられる。  蘇芳は立ち上がるまでに回復したのか、誠が彼のことを考えていると、間もなく双子の部屋である二階へ上がって来た。
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