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蒼に逢いに来たとは言えずに、誠は俯いた。
蒼と蘇芳は一卵性双生児だ。しかし、彼等はうり二つではなく、外見も性格もあまり似ていなかった。
蒼も整った顔立ちをしていたが、日に焼けた褐色の肌をしているし、身体付きも細身ではあるが、蘇芳ほど病的に痩せてもいないし、華奢でもない。
とても健康的である。性格も裏表がなく、素直で明るく、いつも元気が良い。
蘇芳はどこか裏表があり、兄以外の誰とも親しくしなかった。
蘇芳の美しい容貌は、冷たさがあり、近寄り難い印象があるのだ。それに彼はとても身体が弱く、二十歳まで生きることが出来るかどうか分からないと医師に宣告されている。
彼の身体はあちこちが生まれつき、壊れかけていた。
誠はそんな蘇芳に同情していたが、蘇芳はそれが返って鬱陶しく、誠を忌み嫌っていた。
「じゃあ、お願いするよ」
誠は古いアンデルセンの童話集を、蒼に渡しておくようにと伝えた。
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