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すりガラスの図書室の引戸を開けると、本とインクの匂いがした。
中へ入ると、蒼は早速、背丈以上もある本棚へと走った。
誠は蒼が本を選ぶまで、じっと窓辺で待つ事にした。
図書室は、しんと静まっていたが、グラウンドから野球をする生徒たちの掛け声が、聞こえた。
「お待たせ」
蒼は、窓辺に居る誠に向かって手を振りながらこちらへ向かって来た。二人は合流すると、図書室から出た。
静けさの漂う廊下も、図書室も、誠と蒼しかいなかった。
二人は、女性教師に鍵を返しに、職員室に向かった。
誠と蒼は、彼女に会釈をすると、校舎を後にした。
太陽は低く、碧空には綿菓子のような雲が漂っていた。
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