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 その日の夜、誠は一人、座敷で眠る事になった。  蘇芳が自分の部屋で、蒼と二人でいたいと言ってきかなかったのだ。蒼は、蘇芳の夏風邪がまだ完全に治っていないので、反対したのだが、蘇芳は言い出したらきかない少年である。  誠は、我儘な蘇芳に少し腹を立てながらも承知した。しかし、蒼と蘇芳は似ても似つかない双子だ。  少なからず、誠は少しだけ蘇芳に敵意のような感情を抱いた。  静かな屋敷が、夜九時をまわったところであった。誠は一人きりで、昨日まで蘇芳が使っていた座敷に床に就いていた。  流石に蘇芳が使っていた、寝具は変えたのだが、違和感があった。  先日、蘇芳が誠にかざして見せた日本刀が、美人画の掛け軸の下に鎮座していた。誠はそれが気になったが、手を触れる事は出来なかった。
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