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居間に誠は案内されて、華奢な猫脚の白いテーブルと椅子の前に立っていたところ、蒼に椅子に座るように促された。
間もなく蒼が麦茶の入った、瀟洒な青い江戸切子のグラスを持って来て、誠の腰掛けたテーブルの上に置いた。
この屋敷には、双子の他、彼等の世話をする寡黙な祖母が住んでいる。物静かな老婦人は、時々、顔を見せる事があったが、ほとんど屋敷の奥で過ごす事が多いようだった。
蘇芳の看病は、蒼が主に進んで行ない、蘇芳も兄だけを信頼していた。
誠は麦茶を飲み干すと、二階にある双子の部屋に蒼に案内された。
誠は、大きなトランクを引きずるように階段を登った。
双子の部屋に着くと、トランクを部屋の真ん中に力尽きて置いてしまった。炎天下の中、ずっと持ち運んでいて、実は手にマメが出来そうなほど掌が痛かったのだ。
和洋折衷な双子の部屋は、畳敷きだったが、洒落たバルコニーがあり、右側に蒼の机と寝台、左側に蘇芳の机と寝台が置かれていた。
二人にしては、かなり広々とした部屋だった。
「蘇芳は座敷だから、今日はここを俺と使おう」
蒼はニッと笑った。
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