めぐみの恵み

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 お日様はぴかぴか笑っていて、雲たちはゆらゆら踊っています。自然のすべての営みがちょっぴり陽気に見えるのは、今日がとってもいい日だからです。なぜかって? それは朝目覚めた瞬間に、わたしがそう決めたから。  小石を蹴り飛ばしてしまわないよう、慎重に歩きます。ランドセル、とてもお気に入りなのだけれど、なんだか重くて疲れてしまいました。視線が下を向いてしまいます。でも、時には下を向くのも大切なことなのです。だって、上ばかり向いていると疲れちゃうもの。  少し休憩して、水筒に入ったお茶を飲むことにしましょう。なんていいアイディア! わたしは自分が、もしかしたら将来とんでもなくすばらしい人間になるのではないかと思いました。だってお父さんとお母さんがよく言うんです。あなたには無限の可能性がある、って。  帰り道、もう少し進んだところに公園があります。そこには確かベンチもあったはずです。わたしは額の汗を拭って、ランドセルを背負い直しました。
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