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公園には、わたしの記憶通り木でできたベンチがありました。だけど一つ問題があります。それは手のひらで目元を覆って空を見上げ、ぐでん、と脱力した様子の先客がいること。わたしのお父さんと同じように、黒のスーツを着ています。
わたしは少しだけ悩みます。先客がいるとはいえ、ベンチにはまだもう一人座れるくらいの余裕はありました。誰かの所有物ではありませんから、わたしが座ったってなんの問題もありません。
悩んだときは、いつかのお母さんの言葉を頭の中で再生します。わたしは一つ頷いて、とっても元気に一歩目を踏み出しました。
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