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（猫ちゃん、どうしたの？ ごはん足りなかった？）
猫は黙って豆丸の顎に頭を擦りつけた。それに気付いた豆丸が、うれしそうに鼻を鳴らす。
私、あんたをかわいがる大地くんを見て、あんなふうに愛されたいって思ったの。ちゃんと名前を呼んで、いっぱい撫でて、いっぱい遊んで。
だけど、私を見つけたのは大地くんじゃなくてあんただった。何度もしつこくちょっかいを掛けてきて、私を無理矢理ここに攫ってきて、べたべたくっついてきて。
私は犬が大嫌い。だけど、あんたに愛されるのは悪くない。
翌日、早くも猫は名前を貰った。二匹の寄り添う姿に、下川家猫ちゃん家族化法案は満場一致で可決された。
（豆丸）
（なあに）
（私、大地くんも愛海ちゃんもお母さんもお父さんも大好き。だけど、名づけのセンスはないと思うわ）
（そうかな。ボクはかわいいと思うよ。大福餅ちゃん）
（……あんたがそういうなら、別にいいわ）
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