飼い主によく似たわんこ、大福餅を拾う

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(よかったね、猫ちゃん)  大地の腕の中に納まった猫に、豆丸はうれしそうに話しかけた。 (ちょっと、吠えないでよ。このバカ犬) (どうして? すごくハッピーな気分だよ! 大地くんはやさしいでしょ。ボクの自慢のご主人さまだよ!) (あんたに言われなくてもわかってるわ。この私が目を付けたんだから!) (えへへ) (どうしてあんたが照れるのよ) 「ああ、ごめんね。豆丸」  急に吠え出した愛犬に大地は視線を向けた。  ヤキモチを妬いているのかと思ったが、豆丸はうれしそうにぶんぶんとしっぽを振っている。そのうえ、つぶらな瞳はオヤツを強請(ねだ)る時のような輝き方をしているのだから意味が分からない。 「きゅうん」 「豆丸、それはどういう意思表示なの?」  困惑する大地の膝に、豆丸はぽんと前足をついた。 (大地くん、大地くん! ボクは怒ってるんじゃないんだ。よろこんでるんだよ)  けれど、豆丸の言葉を大地は理解できない。 「ごめんな、猫ちゃん。飼ってあげられたらよかったんだけど、うちは豆丸がいるから難しいかなぁ。なんか変に興奮してるみたいだ。母さんも反対するだろうし……」  塀に戻されると察した猫は、大地のジャージに爪を引っ掛け抵抗した。
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