俺の犬

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璃舜はヨルダの一糸まとわぬ身体に手際よく服を着せていく。仕上げに、ブロンドの髪が目立たぬよう深くフードを被せたところで、手が震えた。 あまりに突発的すぎることは自覚している。無謀な逃避行が上手くいくとは思えない。 ゴートルの情報網は膨大だ。どうくぐり抜けるかの算段も立っていない。捕まったら死よりも辛い処遇を受けるだろう。 それでも、ヨルダをゴートルに差し出すことは考えられなかった。 ヨルダを返せば殺されることはないだろうが、きっと光を失う。 それは、死ぬことと同義だ。 ヨルダが、震える璃舜の手を掴んだ。 「潜伏は得意だ。内戦で何度も経験した。私に任せろ」 鋭い眼差しは璃舜の闇を射抜く。 「頼りにしてるぞ。その嗅覚」 璃舜は手早く荷物をまとめ、ヨルダを連れて家を出た。 このままどこまでも離さない。 こいつは、俺の犬なのだ。
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