5人が本棚に入れています
本棚に追加
また、聞くところによると、共犯の仲間達もBと同じようにバイクで事故り、やはり何かに怯えて気が触れたような状態になっていたのだそうだ……。
ここからは根拠のないただの考察にすぎないのだが、もしかしてあの犬は、B達の殺害したホームレスの霊が取り憑いたものだったのではないだろうか?
そして、自分を殺した犯人に復讐すべく、ああしてB達の前に姿を現すと、その恐怖と自責の念から自首するまでに精神を蝕んでいったのでは……。
それ以降、もう二度と目撃することはなかったが、俺達を走り抜いていったあの犬は、いったいどこへ行ってしまったのだろうか?
あの犬と同一の個体なのか? それともまったくの別物なのかは知らないが、もしかしたら俺達は、世にいう〝人面犬〟のオリジナルを直に目にした人間なのかもしれない……。
後年の告白により、〝人面犬〟は意図して作られたブームだったとか、社会学的実験のために故意に流されたウワサだったとかいう話もある……だが、こうした体験をした俺達としては、そんな架空の存在だとはどうしても思えないのである。
(人面犬 了)
最初のコメントを投稿しよう!