人間観察

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 少し前から、やたらと人懐っこく声をかけてくる女の子がいる。その子の傍にはいつも少年がいる。同じ少年ではない。少年たちは全部で4人ほどいて、4人一緒の時もあるが、ひとりずつの時もある。女の子はマドンナ、というより、お姫様か。 (お姫様にしては、ぽやんとしていて、危なっかしい雰囲気なんだけど)  かわいいし、なんといってもいいつもビスケットなどのちょっとしたお菓子をくれるので、彼女が通りかかると嬉しい。  すっかり餌付けされてしまった気がするが、彼女はなんとなく、"人間"っぽくない。人間の姿形はしているけれど、何かが違う。僕の本能がそう言っている。  地球外生物かもしれない。意外と思うかもしれないが、あいつらはけっこう紛れ込んでいて、地球を調べているようだ。あいつらには異質な気配があるし、嗅ぎなれない匂いが交ざっているから、見つけやすい。  彼女にも、わずかにその気配がある。だが少年たちにはない。彼女は何者で、少年たちも何者なのか。ふつうの10代の子どもには見えるのだが・・・。気にはなるけれど、僕に害が及ぶわけではないから、今のところ調べるつもりはない。  彼女が分けてくれるお菓子が手に入らなくなるのも嫌だ。
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