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顎を腕に乗せて、さらに眺める。
妙に惹きつけられる気配を感じ、そちらに目を向けた。思わず息を飲んだ。
独特のオーラを放つ二人組の少女が、颯爽と歩いてくる。ひとりはまるで日本人形のようなおかっぱの黒髪に、大きな瞳で蠱惑的な魅力を放っている。もうひとりは、白い肌に長い金髪の白人系美人で、着ている制服に似合わない大人の雰囲気を纏っている。楽しそうに歩いているだけなのだが・・・。
(これは、なんだ?)
目が離せない。美しいだけではない。
("人"だけど・・・あの二人、生きてるのか?)
そんな疑念を抱いてしまう。生命の気配が、周囲を行き交う人々と違うのだ。
黒髪少女と目が合ってしまった。
黒髪少女は一瞬、意外そうな顔を見せたが、すぐにきゅうっと両方の口の端を上げた。ほほ笑みが、なんとも妖しい。
(こちらが気づいたのに気がついたのか?)
全身に少し緊張が走る。
金髪少女も、黒髪少女の視線の先に気づいて、こちらを見た。その瞳が、わずかに金色に光った。気がした。
思わず背筋を伸ばした。
金髪少女は、だが、やわらかい笑みを返し、黒髪少女を誘って歩いていってしまった。
僕はただただ、見送るしかできなかった。
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