もう一度信じてくれたんだね

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 土曜日は朝早く出発した。 少しでも早く会いたかったからだ。 梓の好きな地元のお菓子をたくさん持って来た。 「そんなに食べないよ」と笑って欲しかった。 家に上がると、誰もいないはずなのに、ガサゴソ何かいるような音がしてきた。 「犬を飼ってるの。可愛いからこっちの部屋に来てみてよ」 梓の声がする方へ行ってみるとケージの中にミニチュアダックスフントがいたのだけれど……。 申し訳ないが、私は長く直視できなかった。 その犬は歯が1本もなく、その為、長い舌が口からはみ出して垂れていた。 そして、毛並みもひどく悪くて、とても可愛いなんて思えなかったからだ。 何よりも私を見てひどく怯えているようだったし。
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