もう一度信じてくれたんだね

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 ポンッ 携帯に新着メッセージがきたことを知らせる音だ。 誰だろう… 「あっ!あ、(あずさ)だ!」 はやる気持を抑えながら、とりあえずメッセージをひらいてみた。 "梓です。お元気ですか? その節はありがとうございました。少し落ち着いたので会いたいです。連絡を待っています" 梓は高校1年で同じクラスになってから、大学も同じだったこともあり、もうかれこれ35年くらいの付き合いになる。 ……それはそれはショックな出来事だった。 彼女のご主人が仕事先で急死したのだ。 彼女からのメールには、取り急ぎ、夫が亡くなったことだけが書かれていた。 何が何だかよく分からないので、他の友達に詳しいことを聞いて回った。 それに寄ると、旅行代理店に、お勤めのご主人は通常は店内勤務だったそうなんだけれど、添乗員のやり繰りがつかなくて、その2泊3日のツアーだけ出て行ったんだそうだ。 その最終日の夜に体調を崩して、そのまま……。 梓のことが心底、心配だった。 多分彼女のことだから、気丈に振る舞っていることだろう。
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