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「お孫さんとして複雑な気持ちかもしれませんが、お祖母さんをあまり責めないでやってくださいね」  警察官は私からお金を受け取ると、声を潜めて取り調べた内容を話してくれた。 「お祖母さん曰く、週二回あなたが来て一緒に夕食を食べるのが、とても楽しみだったそうですよ。だから美味しい物を食べさせたくて、ずっと無理をしていたそうです」  先ほどのメモのリストをよく見ると、全て私の好物だった。 「だったら言ってくれればいいのに。私だってバイトしているからそれぐらい出せるのに」 「これは私の想像ですが、彼女にもプライドがあったのではないでしょうか」 「でも、そんなプライドのために万引きするとか」 「もちろん正しいとは言えませんよ。警察官という立場では尚更ね。でも、大人も色々あるんですよきっと」  いつかの母の言葉を脳内でリフレインさせながら、私はマロンのことを思い出していた。祖母は犬の散歩という繋がりが無くなってしまうと、孫がやって来ないと思ったのだろうか。すっごくバカで愚かで可哀そうな人。でも、きっとそんな彼女のもとに、私はこの先も通うのだろう。
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