トーコさんとシリウス(1)

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トーコさんとシリウス(1)

 「シリウスはね、犬種はシベリアンハスキー。顔の半分から上と背中はグレーで、お腹は真っ白だった。額から鼻に向かって一本、グレーの筋が通っていて、精悍な顔をより引き締めていた。三角の耳もピンと立って、良く動いて周りの音を注意深く聞いていたわ。  シリウスは、モール一階のペットショップで売られていたの。……売れ残りでね。私はいつもはペットショップの前を通らないんだけど、その日はイベントの関係でいつもの駐車場が使えなくて、べつの場所に車を停めたから、たまたま通りかかったの。  その姿が目に入った瞬間に、目が離せなくなって。月並みな言葉だけど、一目惚れか運命という感じだった。その場で店員さんに声をかけて、十分後には手付金をATMで下ろしていたわ。それ以前も以後も、こんな風に衝動的に動いたことは、一度も無いわね。この時だけ。  シリウスは相当に成長していて、これ以上はここにいても飼い手は付かないと判断されて、三日後にはブリーダーさんに返されるところだったのよ。それから一週間、店員さんに相談しながら受け入れ準備を整えて、シリウスを迎え入れたの」
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