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「東雲さん家のお嬢さん。血まみれで路上にいたらしいわよ」
「ストーカーかしら? あそこの家のお嬢さん、かわいかったから……」
「でも、あそこのご家族、少しアレだったじゃない?」
「違うわよ。あそこの家じゃなくて、あそこの親戚がね……」
興奮気味に言うはおばさん達の会話がとてつもなく耳障りだ。
血まみれで、顔は苦悶に歪み。身体をくの字に曲げたまま女子高校生である東雲 美南海は事切れていた。
「花子さん」
当時の出来事を思い出したまま、私は【トイレの花子さん】を呼ぶ。
棺に入った従姉妹を見る、というコトは私には出来なかった。
棺の中に眠る従姉妹の顔の上には、彼女の写真が置かれていたという。写真をのせるほど第三者に見せられない状況となのだろう。
突然の別れだというのに、私は葬儀中でさえ涙すら流さなかった。
ヒドイ親戚だ。と、自分でも思う。従姉妹にはたくさんお世話になったのに、私は私の家族は非情な人間だった。
「花子さん」
葬式中、彼女の同級生と思わしき男女がコソコソ話をしているのを聞いた。
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