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アイナの力
次の日、門崎家に行くと前回会った時より顔色のすぐれない麻里奈さんが出迎えた。
時折、夜中に背中が痛くて起きてしまうと言う。食欲も少し落ちたと話すように、彼女の頬は少し痩けたようにも見えた。
近々また検査をするようだが、結果がどう出ようとも早く荊棘から薬を貰わなくてはと、焦らずにはいられなかった。
「麻里奈さん、片付けとか僕やるので、少しでも横になっていて下さい」
「うん…ありがとう、本当に助かります」
弱々しい笑顔を見せて、麻里奈さんはアイナに向かって声をかけた。
「愛奈…ごめんね。ママ元気になるから心配しないで」
優しく頬を撫でられたアイナは目に涙を浮かべたが、必死に堪えているようだった。
「アイナ、リンドーといっしょにママのてつだいする!」
そう言うとリビングの絨毯の上に座り、乾いた洗濯物を畳み始めた。俺は麻里奈さんを見て頷き、アイナの隣に座った。麻里奈さんは娘の背中を見つめて、そっと寝室へ入って行った。
アイナはグズグズと鼻を啜りながらタオルを畳んでいく。俺は衣類を畳みながら話しかけた。
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