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クリクリとした大きな目、高めの位置に2つ結んだ長い髪に星型のヘアゴムをした、人間年齢でいう4歳児が確かに俺を見つめている。
「いまの、まほう?」
少女はさっきまで扉があった壁をペチペチと叩いて確かめている。俺は周囲に人間がいないことを確認するとローブを脱いだ。
「あー! こんどはハッキリみえる〜」
死神のローブを脱いだ今の俺は『人間のふり』ができる。この状態なら霊感がなくとも誰でも俺を認識するのだ。
だが……ローブを着ていた状態のうちから俺が視えていたこの子どもは、強い霊感があるのかもしれない。
霊感が強い人間に会うのは初めてではない。こういう時の対処法はもちろん心得ている。
「おい、子ども」
「アイナだよ?」
「……それが名前か。おい、アイナ。俺の、目を見ろ…!」
俺はアイナと名乗る子どもの肩を抑え、紫に光る目で記憶の削除を始めた。すぐさまアイナの目が眠そうに閉じられていく。
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