また、いつの日か

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また、いつの日か

そしてその夜――。 俺はローブ姿で門崎家を訪れていた。 麻里奈さんがあの薬を飲むのを見届ける為だ。 アイナは夕飯の後に、思い出したようにポケットから袋に入った薬を取り出し、麻里奈さんに渡した。 「これなぁに? 飴?」 「リンドーがね、げんきになるからのんでっていってた」 不思議そうにしながらも、麻里奈さんはそれを受け取り袋を開けた。青い玉がキラリと光る。 「青い…きれいね」 薬を摘み取り、そっと口の中へ入れる。 飲み込むというよりは舌の上で転がすようにして薬を取り込んだ。 「おいしい?」 興味津々にアイナが聞くと、麻里奈さんは首を傾げて「少し甘い」と言って笑った。 キッチンでは紘一さんが片付けをし、しばらくして麻里奈さんとアイナは先に寝室へと移った。 ベッド脇の小さな灯りだけを点けて、二人は布団に潜り込む。寝ながら小さな絵本を読み聞かせていたようだったが、アイナが寝始めると麻里奈さんも少ししてから静かに寝息を立て始めた。
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