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「最後のお別れに来た」
「おわかれなの?」
「……うん」
「やだ」
アイナも俺にギュッと掴まる。
離れると、まだ眠そうな顔をして、ゆっくりと瞬きをしながら俺を見つめた。
「あ…」
アイナが視線を下に向けると、気がつけば俺の下半身が光と共に消えている。
長々と挨拶をしている時間はなさそうだ。
「アイナ。パパとママ、あとこれから産まれてくる弟妹も大事にするんだぞ」
アイナはコクンと頷いた。今度はしっかりと大きな瞳を俺に向けている。
「じゃあ…サヨナラだ」
俺がそう言うと、アイナは顔を横に振り左手首に付けていた「俺のブレスレット」を見せた。
「またね、だよ? またあうでしょ?」
――そうだった。約束したもんな。
「またな、アイナ」
「またね、リンドー」
俺は愛らしい笑顔のアイナを見ながら、光と共に消えた。
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