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再会と別れ
『心、久しぶり!元気?』
ブーッ。
『久しぶり。元気だよ』
『突然なんだけどさ、成人式、行く?』
ブーッ。
『行くか迷ってる。心春は?』
『行く予定!もし良かったら一緒に行かない?』
ブーッ。
『いいよ。じゃあ9時に駅待ち合わせで』
『おっけー!』
――――そのメールを交わしたのが2週間前。
この2週間の間、それ以降は何も連絡を取っていない。
ましてやあのメールの前、最後に彼女とメールを交わしたのはいつだっただろうか。
1年、2年……いや、10年ぶりだ。
久しぶりに、親友と会う。
小学校の卒業式ぶりの、親友の顔。
すぐに分かった。
白い生地にピンクや黄色の花々が散りばめられた一際目立つ振袖に、茶色くふわふわした髪型と豆粒ほどの小さな顔。
ぱっちりとした目は小学生の頃から変わらない。
――――まるでお姫様のような雰囲気を醸し出している彼女が、私の小学生からの親友だ。
「心!」
今日は成人式。
駅には振袖姿の女の子達があちらこちらで写真を撮っている。
そんな中、スマホもいじらずただまっすぐ前だけを見て待っている彼女が凛としていてかっこいいのは当然で。
他の誰とも違う。
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