再会と別れ

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 昔からそうだった。  彼女は学年の中でも一番と言われるほど可愛くて、運動神経も良くて、頭も良かった。  そんな彼女とは小学校1年生の頃出席番号が近いことから仲良くなり、1年も経てば”親友”という名前が付けられた。  ”心”と”心”春、名前の漢字も同じことから先生からも”心コンビ”と言われていた。  私の家と心の家は少し遠い。  それでも何度も遊びに行ったし、親同士の付き合いも悪くなかった。  心は水色が好きで、私は桃色が好きで、お母さんからは『まるで双子のようだね』と言われていた。  けれど、そんなのは小学生の頃の話で。  今の私はピンクなんて好きじゃない。  黒とか白とか、当たり障りのない色が好きだ。  女の子らしくてほわほわしているピンク色なんて、私には似合わない。 「!春っち、久しぶり」  真正面にいるこの可愛いらしい女の子を『天使』と呼ぶなら、黒地に赤椿の振袖を着ている私は『悪魔』と例えるのが一般的だろう。 「あはっ、その呼び方懐かしいね」 「こっちの方が慣れてるから思わず呼んじゃった」 「ろっち」 「うわ、春っちだ」 「うわ、って何さ。そっちが先に呼んだんじゃんか」 「あはは。ハタチにもなってこの呼び方やっぱり変かな? どうしようか」 「でもこっちのほうがしっくりくるよね。ろっちはろっちだもん」 「うん。ほんとそれ。春っちは春っちって感じ」 「変わらないね」 「そうかな。春っちは変わらないね」 「ほんとね。あれから身長2センチしか伸びなかったし」 「あはは。春っちは小学生ながらにして大人と並ぶくらい高かったもんね」 「まさかあのろっちに身長超されるとは。びっくりだよ」 「確かに。春っちが小さく見える」 「幻覚だよ、幻覚。私がろっちより小さいわけない」  ほらね。  例え8年会ってないからって、親友が親友じゃなくなることなんてない。
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