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席替え
ジャンプの女主人公のようにパワフルな君が
○○未来だと知ったのは高3の4月。
初め、その可憐さに目を奪われたのは、
クラスの大半の女の子だった。
分け隔てなく、人に接する彼女に先行されて
クラスの形や色、匂いが彼女に染まっていった。
当然、男子にも人気があった。例に漏れることなく、俺も目を奪われることがあった。
そんな彼女と付き合う未来。手紙のせいで頭が未来でいっぱいになっている。
六時間目が終わり、席替えの時間がやってきた。
「この列から順番にくじを引いてください。」
クラス委員の誘導の元、
スムーズにくじが引かれていく。
彼女の番が来た。
「今川君、先引いてくれる?」
彼女はそんな事を言った。
「何話してんだ?」
「なんだろね」
「ずるいな。」
「声出てるよ」
近くに座る片寄千切がそんな事を言ってくる。
足が早そうなそいつは、サッカー部の補欠だった。
幸成も特に断る理由がないのだろう。
二つ返事でそれを了承した。
順調にくじが引き終わり、日々の板書が
何回も上書きされた黒板に席順が張り出された。
毎月行われていたこの席替えこそが
俺の人生のターニングポイントであり、出発点でもあるらしい。
俺は手紙の通りに彼女の隣を引くことはなかった。
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