第1章【1】

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第1章【1】

 俺の初体験は、散々だった。  高校二年生の春、関西の男子校に通っていた俺は、入学してからずっと好きだった隣のクラスの(しゅん)くんと晴れて両思いになった。  周りに付き合ってる事がバレないかヒヤヒヤしていたけど、瞬くんはイケメンで優しいし、放課後、一緒に帰る時にこっそりキスして手を繋いでくれるし、俺は幸せの絶頂にいた。  そんな中、初体験を迎える事になったのは、夏休みも半ばに差し掛かった頃、瞬くんと電話していて、家に招待されたのがきっかけだった。 『修介(しゅうすけ)ー、週末俺んち、親がいきなり旅行行く言うて誰もおらんのよ。良かったらうち来ーへん?』 「えっ、ええん?! 行く行く!」 『泊まってってええよ! んでさぁ~、朝までゲームやろうぜ!』 「え、朝まで……?! 行く行く! 絶対行く!」  (瞬くんの家は初めてやからドキドキやなぁ! ゲームやる言うてたけど、泊まりって事は、もしかしたら少しぐらい、あんな事やこんな事……)  緊張しながらもどこか期待している自分がいて、その日を心待ちにしていた。  ──で、当日。  まさかあんな事になろうとは。  * * * 「痛ァ!!」  もう一度言うけど、俺の初体験は、散々だった。  一言で言うと、痛かった。 「え? 痛い?」 「瞬くん! ごめん、ちょっと痛いんやけどっ、もうちょい、優しくっ……?!」 「もしかして初めて? 大丈夫だよ。痛いのは最初だけやから」  部屋で夜テレビの前で並んでゲームをしていたら、そんな雰囲気でも無かったのに、いきなり瞬くんの方から腕を掴まれた。  瞬くんは真剣な顔で、口を真一文字に結びながら俺の顔を覗き込んできて、その後優しく触れるだけのキスをして。  それが合図だった。  で、瞬くんのベットに横たわると、電気を消されて。  (わぁぁ~! とうとうするんや! 瞬くんと!)  女の子みたいに両手で顔を覆っていると、その手を剥がされて激しいキスをされて、変な声も漏れて、二人で盛り上がっていた。  はずなのに。  俺は引っ張られてちぎれそうになる乳首を押さえて、涙目になりながら懇願する。 「しゅ、瞬くん! ちょっと待って……」 「あ~? さっきからうっせぇなぁ……少し黙っとけよ、優しくすっからさぁ」 「瞬くん?!」  (な、なんかいつもと違うな、瞬くん……言葉遣いも粗いし、もしかしてエッチで豹変するタイプ? でも、そんな瞬くんもかっこええ……)  痛いけどそんな事を考えていた矢先、心と体の準備が出来ていないのにも関わらず、俺の大事なところに瞬くんの中心が当てがわれた。 「ええっ! も、もう?!」 「はぁ……っ、悪ぃ、もう我慢出来ねぇ……」 「無理! 無理やで! まだなんも……!」  (こういう時って、ホンマはローションとか使って滑りよくせーへんといけないんや無かったっけ?! あぁ、でもそんな事言うたらまた怒られる……!) 「力抜けよ……っ」 「ええっ! え~…………あ──っ!!」  * * *
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