8章(5)

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「君、何を言ってるんだ?」 「あっ、いえ、なんでもないわ」  スェルヒナさんは顔をまっすぐに戻して、慌てたように取り繕う。  なんかよくわからないけど、まあいいか。  私はゼディオさんの方を見る。 「あの、どうして学園長は犯人を調べるのを邪魔しているんですか?」 「犯人が判明すると困るからだろう」 「それは、学園長が犯人ってことですか?」 「馬鹿を言うな……そんなわけがあるか」  ゼディオさんは呆れたように言う。 「学園長を信頼しているんですか?」 「それもある。だが、万が一にも学園長が犯人だったとしたら、爆発事故を起こすような不手際はしないだろう。犯人は専門知識の少ない素人だ」 「じゃあ、どうして捜査を妨害するんですか?」 「貴族が犯人だったら困るからでしょ」  スェルヒナさんがうんざりしたように言う。
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