俺はフェンサー

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健一は、フェンシング部のある私立大学を第一志望に選んだ。 猛勉強の日々を経て、一般入試を受験。 結果は見事合格。 そして、入部後初めての練習で。 「よう、健一」 「康太、よっす」 健一は康太と再会した。 「なんか、こうして顔を合わせるの、久しぶりな気がするんだけど」 「そりゃ、中3の時の全中以来だからな。……あの後、俺、フェンシング一旦辞めてたし」 「……そっか」 「まあ、なんだかんだ復帰したわけなんで。……これからまた、よろしく」 「おう。一緒に頑張ろうな!」 ふたりは顔を見合わせて、ニカッと笑いあった。 ……そして、久しぶりの大会当日。 健一は康太と一緒に会場入りした。 体育館中を満たす、フェンサーたちの熱気。 交わる剣の音。 試合前の緊張感。 なんだか、懐かしくさえ感じられる。 真新しいユニフォームとメタルジャケットを着て、ピストに立った健一は、マスクをかぶり、大きく息を吸って吐く。 「アンガルド」 剣を掲げよ。 俺はフェンサー。 ……好きだから。 ただ、フェンシングが好きだから、またこの場所に帰ってきた。 「プレ」 さあ、行こう。 敗北の悔しさも、勝利の喜びも、全てはベストを尽くした先に待っている。 「……アレ!」 【完】
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