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俺はフェンサー
フェンシング。
フランス発祥の剣を用いるスポーツ競技。
その源流は、中世の騎士たちが「身を守る」「名誉を守る」ことを目的として、磨き、発達させてきた剣術にある。
ひとくくりにフェンシングといっても、実は3種目存在するということを、どのくらいの人が知っているだろうか?
紳士たちの剣の練習から派生した種目で、胴体のみ剣で突けばポイントとなる「フルーレ」。
伝統的な決闘から派生した種目で、全身どこでも剣で突けばポイントとなる「エペ」。
騎兵隊の剣技から派生した種目で、上半身を剣で突く、もしくは斬ればポイントとなる「サーブル」。
そして、日本には現在、約4000人のフェンサーがいる。
この会場にいる彼、山崎健一も4000人のうちのひとりである。
全国中学生フェンシング選手権大会。
各都道府県のランキング大会で出場権を勝ち取った中学生フェンサーたちが一堂に会する大会。
健一が出場する男子フルーレの出場人数は230人。
予選は3分間、5点先取の1セットマッチ。
5人ないしは6人1組で行うプール戦。
予選上位7割に入れば、決勝トーナメントに進出することが出来る。
決勝トーナメントの組み合わせは予選上位で勝ち抜けるほど有利になるので、優勝を目指すにはプール戦での勝利数、そして得失点差がカギになる。
体育館のフロアいっぱいを使い、20面設置された、幅2m、長さ14mのピスト。
そこに立つ中学生フェンサーたちはみな、勝利を目指し練習を積み重ねてきた。
……無論、健一もそうだ。
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