カエルの戯言

24.『寒白菊』

（2023/5/23）

【寸評】
　時代物やファンタジー、コメディからホラーまで幅広く手掛けられている戦 雪(そよぎ そそぎ)さん（https://estar.jp/users/164608453）の誕生日に贈らせていただいた作品です。
　読者としても高い洞察力を持つ戦さんに、しかもお好きだともうかがった戦国時代が舞台の作品を披露するのはとても緊張しました。

　敵国からの侵攻に追い詰められて燃え盛る城内。若い武士は亡き主君の娘である姫に相手方へ下ることを勧めます。しかし彼女は名誉の死を選び、彼もまた自分の想いを押しとどめ、家臣という立場のままそれに付き従います。
　姫もまた同じような気持ちなのでしょう。結ばれた小指は、おたがいの気持ちを知りながらも時代に許されなかったふたりが最期に示した愛の行為でもあります。

　登場人物ふたりがどちらも死ぬという結末を用意していたため、その証人（？）を作品のタイトルにしました。はたしてこの時代に寒白菊が日本に渡っていたかどうかは疑問ですが、時代考証よりも「誠実」・「清潔」・「愛情」・「輪廻転生」といった作風と合致した花言葉を優先しています。