走馬灯リベンジ

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 ほんの一瞬の出来事だった。  ヤバい! そう思った時にはもう、自分の体とギターケースは宙を舞っていた。  猛スピードで走る車が赤信号を無視し、交差点を渡る自分に突進してきたのだ。  体中を駆け巡る痛み。(かす)かに頭をよぎった記憶の中で、思い出したのは両親の顔だった。  あぁ、これが走馬灯(そうまとう)ってやつか。親より先に死ぬなんて、こんな親不孝なことないよなぁ。俺の人生、もう終わっちゃうのか──。  迫りくるコンクリートの地面。覚悟を決め、力強く目をつむった。
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