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部屋に入ってから、ベッドに腰かけて、向かい側の壁に飾ってある一枚の絵を眺めた。父親の知り合いの、画家をしている友人が描いた絵らしい。
赤ん坊の頃の僕を抱っこしている両親の絵だ。家の前で、勇ましい表情をしている父親の太い腕に抱かれている僕。その隣には、華奢な体格の母親が描かれている。ちなみに、父親は祖父母の子だ。
あの騒がしくて仲の良い老夫婦から生まれた父親は、母親と魔法学校の同じクラスで出会い、恋に落ち、同じ魔法学校の教師となり、結婚したらしい。
そして僕が生まれ、僕が赤ん坊の頃に、立派な魔法使いだった両親は共に参加した山での教員研修中に、ドラゴンに襲われて亡くなった。
僕の記憶の中には両親との思い出がない。
両親は、どんな夫婦だったのだろう。祖父母のように仲の良い夫婦だったのだろうか?
だったら、いいな。まあ、こんなことを考えても仕方がないけど。でも、もし今も生きているとしたら、仲の良い両親と一緒に笑顔で暮らしたい。
僕は、ベッドから机の前にある椅子まで移動して勉強に取りかかることにした。
しかし、台所から聞こえる祖父母の笑い声が気になったり、ユウアのことを考えてしまって全然集中できない。
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