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 荒野に到着すると、祖父は足元に転がっている小石を拾い上げて、その小石をドラゴンの人形に変化させた。その人形は、僕の体の十倍ぐらいはありそうな大きさで、迫力があり、とても怖かった。  祖父は「遠くから、この石人形目がけて魔法を放つんだ。段階を踏むごとに徐々に人形を小さくしていくからな。上手く当てろよ。よし、最初は炎属性の基礎魔法の特訓からやるぞ。離れよう」と歩き出す。  僕は、家にいるときとは全然違う祖父の雰囲気に押されて、声を出すことができなかった。  祖父が杖を掲げ、「こうやるんだ。よく見てろよ。フレイマゴラス!」と呪文を唱えた。  すると杖の先から、拳の大きさほどある真紅の炎の球体が発生して、一瞬後に球体は、ドラゴンの人形のど真ん中を貫いていた。 「元が小石だから簡単に貫くな。おい、飛んでいったの見えたか?」  僕は「まあ、なんとかね」と嘘をついて強がった。 「じゃあ、同じようにやってみろ。この魔法はもう習っただろ?」 「うん。三ヶ月前くらいに習った……けど苦手なんだよな」 「苦手かぁ。じゃあ得意な魔法は何なんだ?」 「得意な魔法はないよ。僕、魔法の成績は全科目、下から数えた方が早いから」 「まあ、あの恥ずかしいリストを書くぐらいだからな」 「それは言わないで。お願い」  こうして、『冬休みが終わるまでの間に全ての種類の基礎魔法をマスターすること』を目標に猛特訓が始まった。     
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