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デスモンドは、詠唱をして雨のように水を撒くが火の勢いは止まらない。
そうしていると、デスモンドに気が付いたタウルンディア兵が矢を射かけて来た。矢を防ぐため風を起こすと、火災の勢いが増してしまった。
「これは、いかん」
消火活動と敵兵への応戦を一度にすることの難しさに、デスモンドも焦った。
そのときだった。
黒い風が吹いたと思ったら、目前にグレンとアリンがいた。
「先生!」
アリンが馬上で叫ぶ。
「アリン殿か!」
アリンたちは、空にあがる黒い煙を見つけて急いで駆けつけてきたのだ。
グレンが「アリン、火を消せ!」と叫び声に応じて、アリンは詠唱を始める。
デスモンドは、攻撃をしてくるタウルンディア兵に対戦するためアリンたちに背を向けた。
アリンが唱える声が背中に聞こえる。
「絶対零度の主よ、参り給え!シアランディアのイザンの地に舞い降りて、炎の精が舞い踊る熱を取り去り給え。炎の狂乱に終わりを!」
アリンの高い声はよく通り、空を突き抜けていった。
アリンの叫びのような詠唱が終わったとき、デスモンドは足元に冷気が這うのを感じた。
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