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次にマントの裾が冷たい風にあおられ、辺りの気温が一気に下がったことを感じた。デスモンドが振り返ると、空に逆巻いていた炎が小さくなっており、その上には銀色のうろこをきらめかせている氷竜が飛んでいた。
(初めて見た…)
デスモンドだけでなく、タウルンディア兵も突然の竜の到来に唖然と見上げていた。
氷の竜が空中を旋回するたびに建物の炎は小さくなり、やがて見えなくなると、辺りは吐く息も白い極寒となった。
「ありがとう!氷の主!」
とアリンが叫ぶと、氷竜はひときわ大きく旋回して、どこかへ消えてしまった。
呆気にとられているタウルンディア兵を、デスモンドは小さな稲妻で感電させて倒してしまうと、アリンに駆け寄った。
「戻られたか。あの御方は?フィオナン様は?」
と訊くデスモンドに、アリンは顔を振るだけだった。
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