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ここにオニールは、侵攻してきたタウルンディアの大将であるザカライアと初めて対面した。
オニールは最初はそれが誰か分からなかった。兜と鎧を身に付けているせいもあったが、その体格がオニールの知るザカライアではなかったからだ。
騒ぎを聞きつけて、オニールの近くに駆けてきたアリンが叫んだ。
「お兄様!」
その叫びで、オニールは、片手で兵を投げ飛ばした巨漢がザカライアと理解した。鎧の紋章がタウリンディア王家のものだった。
こん棒のような太い剣を振り回し、よろけた相手を片方の手で掴み投げ捨てる様は、伝承のトロルのような戦いぶりだった。
「わたシがァ、動けぬゥあいだァ、好ぎガッてしてくれおってぇ」
ザカライアは、迷わずオニールに突進してきて切りつけた。
オニールが避けたので、ザカライアの剣は地面にめり込んだが、すかさず土をまき散らしながら横に振り抜き、さらに踏み込んで突き差す剣先を、オニールはかろうじて避けた。
ファレルとデュランから引き離されたオニールは、ザカライアと一対一で対峙していた。
「逃げてばかりかぁ」
低い声で怒鳴るザカライア。その剣を避けながらオニールは戸惑っていた。
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