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オニールが、侵攻してきたタウルンディア軍と全面対決を決意したのは、彼らがイザンの街に火をかけたからだった。約束どおりアリンを渡したのに、彼らは街を破壊しようとした。その前に逃げて来た住民たちから、すでに多くの住民が拉致されてタウルンディアに送られている話を聞いて、大きな不信感を持っていた矢先だった。
武力によりタウルンディアを排除するしかない、と腹をくくったオニールが逃げた住民を追ってくるタウルンディア軍を押し返すため、自分も戦いの場に出たのだ。
父王ニールには援軍の要請をしている。ここで怯むわけにはいかなかった。
オニールは自分の甘さを反芻しながら、ザカライアの顔を睨んだ。
殺らねば、殺られる。
オニールは、剣を構えると大きく深呼吸をして、自分の間合いを測った。
(これは、あのザカライアではない)
オニールは、温かい思い出に別れを告げた。
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