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華の成績は佐渡の教え方がいいのもあったが、華自身の頑張りの成果もあり成績は右肩上がりで伸びていく。 「華すごいじゃん。」家庭教師を初めて1年が経つ頃には佐渡との間柄も友達とまではいかないが、だいぶ砕けた空気になった。 だが、佐渡は一線を引いて必ず華との距離を取る。 「先生、ご褒美のデートは?」 「うん。夢の中で見てちょうだい。」佐渡はハハっと笑い誤魔化す。 きっと華の気持ちなんてバレてるだろうが、高校生という無邪気さを盾に少しでも彼に近づく事に必死だった。 華が無邪気に初恋を拗らせていた頃、姉の病気が発覚する。 急性骨髄性白血病。 華でも聞いた事があるその病名に両親も姉自身も動揺を隠せなかった。しかし、今は治療方法も確立されていたし姉がまだ若い事もあり治療はスムーズに進み一旦は完治したように思えた。 姉が退院した日、家族で退院祝いをして姉の元気に笑う姿に家族みんな笑顔だった。 「ピンポーン」家のインターホンが鳴り母がモニターを見る。 「彩、佐渡君」母の言葉を聞き姉は嬉しそうに母に伴われて玄関に出る。 「すみません。こんな時間に」 開け放たれたリビングの扉から佐渡の声が聞こえてくる。華は少し身を乗り出して様子を伺う。 「上がって、佐渡君」母は嬉しそうに彼を誘う。 「いえ、今日退院だと聞いていたのでこれだけ渡したいと思って。前畑、退院おめでとう」佐渡はそう言ってピンクと紫色の可愛らしい花束を姉に渡した。 「ありがとう。」姉は嬉しそうに花束を受け取ると、玄関先まで見送ると彼と一緒に出て行った。 「本当にいい子よね。佐渡君」母は感心した様子で父に相槌を促がす。 「華の成績もずいぶん伸びたしな。」 そんな両親とは反対に華の気持ちは落ち着かない。「寒くなってきたから、お姉ちゃんにショール持ってく」そんな最もらしい理屈を並べて華は近くにあった姉のショールを手に玄関を出た。
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