2.前世と今世の違い

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2.前世と今世の違い

100年前はまだ絶対王政時代で首都は王都と呼ばれていた。当時、既に平民の商人が台頭しつつあり、そういう裕福な商人よりも貧しい生活をしていた名前ばかり貴族が増えてきていた。一方で領地経営がうまくいっていたり、新しい事業を成功させたりして裕福な貴族もまだまだいた。我がディートリヒシュタイン伯爵家もその中に入っていた。 50年ぐらい前に立憲君主制に変わってから、王侯貴族の領地はごく一部の王家直轄領以外、全て国に取り上げられ、住民が長官を選べる地方自治体になった。だから今や貴族は名誉的な爵位があるだけで没落した貴族も多い。カントリーハウスとその敷地、タウンハウスは没収されなかったけど、不動産税や相続税が払えずに売るしかなかった貴族も少なくなかった。王家はまだ領地を持っているけど支配しているわけではなくてごく狭い範囲(王政時代に比べれば、だけど)の土地の所有権だけを持っている。でもディートリヒシュタイン家はありがたいことに商業で成功していて爵位もカントリーハウスやタウンハウスも手放さないで済んでいる。 そんな世の中になっても、人々の意識の中から上流、中流、下流の階級意識は消えていない。上流階級と中流階級、中流階級と下流階級の結婚がありえても、上流階級と下流階級の結婚はありえないと考える人はまだまだ多い。我が家も孤児院支援とかでリベラルで通しているけど、特に私のお父様は本音では階級意識の塊だと思う。
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