御曹司と上司

14/17
前へ
/221ページ
次へ
 綺麗な笑顔を見せてくれた。やっぱりイケメンだなあと美しい笑顔にしばし見とれてしまった。最低でも二週間に一度は必ず訪ねてきてくれていた。そんな彼がいなくなるのかと思うとやはり寂しかった。  いつも私をいじって楽しんでいた彼は、実は他の人にはほとんど笑わない。ポーカーフェイスが有名な御曹司で、気持ちを表情から悟られないよう気をつけていると言っていた。  専務の部屋にコーヒーを下げるため入った。すると、少し座りなさいと声をかけられた。 「香月さん。おそらく、彼がアメリカへ行くタイミングで私への総帥からの圧力が強まるかもしれない。それは予測済みだ。もし、私がこの財閥を追われることとなったとしてもそれは想定内。君まで巻き込まれる必要はないからね」 「……どういう意味ですか?おやめになるようなことがあるかもしれないと言うことですか?」  私はびっくりして中腰になった。 「まあ、落ち着いて。君も知っての通り、僕は崇君の仕事のことやいろいろな相談にものってきた。彼の悩みはお父上の周りを取り囲む親族の人達の権力争いなんだよ」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5163人が本棚に入れています
本棚に追加