御曹司と上司

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 彼に告白されて付き合いだしてまだ半年だが、すでにギクシャクしているのを知っている。ワザと聞いてきたんだとわかった。  すると、後から給湯室へなぜか真紀が入ってきた。 「……あら、黒沢さん。こんなところにおられたんですか?先ほど辰巳さんが探しておられましたよ」 「え、本当に?わ、わかったわ……」  辰巳さんは男性秘書で御曹司崇さんの専属秘書だ。彼は総帥秘書である新藤秘書室長に次ぐ権力の持ち主。彼女は飲んでいたコーヒーをおいて出て行った。その後ろ姿にあっかんべーをしている真紀。私は苦笑い。 「真紀。ありがとう。本当に辰巳さん呼んでたの?」 「きっと今頃怒られてるかもね。なんか書類が違っていたらしいわよ。少しは怒られるといいのよ。彼女って本当に態度が大きい。担当の瀬川常務が一番偉いかのように振る舞うのよね。総帥に可愛がられてるからって勘違いも甚だしい」 「そうね。秘書課は彼女の縄張りっていうことなんじゃないかしらね」
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