御曹司と上司

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「……はあ、ま、そうですけど。大学の先輩なのでお二人とも……。でもまだお付き合いはしていないと思います」 「辰巳君も哀れだな。いい年した男二人、イケメン同士だし、ふたりで婚活でもしたら?どう思う……香月さん」  専務がコーヒーを飲みながら意地悪な瞳をきらめかせた。また冗談だ。 「辰巳さんは別としても、崇さんの縁談は星が降るほどあると聞いています。この秘書課にもお相手の噂が……」  コーヒーカップをテーブルの上においた崇さんは、ガチャンと珍しく音を立てた。 「香月。それは噂でしかない。秘書室は噂話厳禁のはずだぞ」  怖い顔をした彼に頭を下げて謝った。 「……申し訳ございません」 「彼女に八つ当たりしたら嫌われるよ。困るのは君だろ?相変わらず女性相手だと不器用だな。仕事はあんなに出来るのに、どうしてなんだろうか?僕はそっちも教えないといけないのかもしれないな」 「結構です。僕は専務の奥様から専務をよーく見張っているように言われてますからね。香月も美人ですし……一応女ですから何するかわかりません」
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