[プロローグ]

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 俺ーー七星歩夢の自論はこうだ。  “身内が宇宙人になると日常的なコミュニケーションを取りたくなくなる”  宇宙人、火星人、金星人。何だって良い。あぁ、これは比喩だ。本気でキャトルミューティレーションをされて脳内を弄りまわされているわけじゃない。  けれども確実に、急に思想転換した身内に接するのが億劫この上面倒ない。28年を生きてきた俺の人生がはちゃめちゃに生きづらくてしょうがない。  今日だってそうだ。 「ご懐妊おめでとうございます」 「この度はおめでとうございます」  仕事の取引先に同じ職場にいる双子の姉と共に挨拶に行ったときだ。俺はこういうときのマニュアルに沿っていつものようにとある質問をした。 「ちなみに性別はもうわかりました? 男の子とか女の子とか」  社交辞令だ。本当に性別がどっちか聞きたかったわけじゃない。だのに、この不用意な発言をキッカケに導火線に火を付けたかのように騒ぎ立てられた。 「こら歩夢! 男の子か女の子は生まれ持った性別じゃなくて自分で決めるものでしょ! そういうの本当デリカシーないよ!」 「は? なんて?」  双子の姉ーー七星恵夢はキラキラと目を輝かせながらよくわからない理論を展開し始めた。 「だから、現代の性別は自分の心で決めるの!」
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