愛の短歌

3/7
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 理由がわからん。  美夜子は何に腹を立てているんだ?そこがわからなければ、対処のしようがないじゃないか。  あれか?ゴミ出しをうっかり忘れた事か。それとも、弁当箱を職場に忘れてきた事か。3日ぶりに美夜子に渡した時、変な匂いがしてたしな。  わかったぞ、風呂掃除をサボった事だな!サボったリングはトイレだけの現象じゃないとかなんとか怒っていたよな。  何なんだよ、サボったリングって。  閃いたぞ!アレだアレ。小腹が空いたから冷蔵庫にあった竹輪を食べた事だろ?料理に使う予定だったとプリプリしながら叱られたんだ。  おでんに竹輪が入ってなくて、代わりのカニカマがひよひよと浮かんでいた。俺も美夜子も無言で箸を進めたっけ。 「海鮮おでんもイケるな!」  フォローしただろ、ナイスフォローだろ。食卓を明るくする俺は、昔からポジティブな陽キャだ。あの時は笑っていたよな、美夜子。機嫌直して、次の日もまた次の日も海鮮おでんを作ってくれた。  しつこいくらい続いたけど、美夜子の愛情は深いんだよ。何が友達感覚だ!何が程よい距離感だ!夫婦ってもんは、死ぬまで一緒のしつこさがないと夫婦じゃないんだよ。  しつこく、粘り強く、それこそ演歌の世界のように、情念絡み合うのが俺と美夜子だ。  だから美夜子のしつこい短歌攻撃なんぞ屁でもねぇ。受けて立つのみだ!  必ず普通の会話に戻して見せるさ。  
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!