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第4話 夏の魔法のお返し
ようやく俺が目を覚ますと、氷を貸してくれたBBQ家族たちは安心したようで、花火を始めていた。
もう夕陽が消えかかり、薄暗闇に辺りがなっていた。
「お、兄さんが目を覚ましたっすね。じゃ、姉さん、俺たち帰ります」
「うん、君たち心配してくれてありがとうね」
バスケットボールをしていた少年たちが、ユウキに手を振る。
俺はボーと事態を理解しようとしない頭を動かそうとした。ユウキの膝に俺の頭が乗っている。
「ばーか。熱中症になる永遠の小学生め。キョウくん、おはよ。いや、こんばんはだね!」
「お前が無理した声をしてどうするんだよ……あ、悪かったな」
俺は熱中症になって倒れたようだ。
ユウキが明るく話してくれたおかげで、最初は深刻に受け止めなかった。けど、それでも親友に心配をかけたのは申し訳ないと次に思った。
汗で化粧も崩れ、土やホコリで綺麗にしていた服も台無しだ。それでも昔の名残りある童顔は、夕闇の中で揺れていた。
可愛い奴を泣かせる。男女問わず、俺は罪悪感をそれに覚えるんだ。
「大変だったんだな。救急車呼んでもよかったんじゃないか」
「ダメ! それじゃあ、キョウくんの夏の思い出にならないよ!」
人情味ある看護学生だ。
その優しさ余って、俺が死んだらどうしたんだろうか。
止めよう。止めよう。
せっかく、ユウキが夏の魔法を繋いでくれたんだ。
「まだ俺たちの夏の魔法は解けていないよな」
「ふふふ」
「何で笑うんだよ」
「良い事を思い出してくれたから、嬉しくてさ」
俺が言った『あの夏の魔法』の意味をユウキは懐かしむように語り出した。
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