第4話 夏の魔法のお返し

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 小学生の頃、川で遊んでいた俺たちはふざけ合っていた。その時、ぬるっとした藻が生えた石で、ユウキが足を滑らせた。  俺は焦ったらしく、川に飛び込んだ。  幸い大怪我はなかった。  2人ともずぶ濡れになりながらも、河川敷までたどり着いた。  ただ、ユウキは右足首をねんざした。  申し訳なさそうに、彼は俺に言った。 『これじゃあ、歩いて帰れないね』 『夏の魔法を使うか! 俺が家まで連れて行ってやるよ!』 『え?』 『ほら、魔法のじゅうたんじゃないけど、俺の背中にどうぞっと!』  俺は真夏の暑い中、ユウキを背負って、小学生にしては大変な道を歩いて帰ったらしい。
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