第4話 夏の魔法のお返し

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 それが『あの夏の魔法』だ。  ユウキはそれがきっかけで他人を助けるという、看護師を目指す学生になったようだ。  記憶から消えかけた話を聞いた俺は、ポカンと口を開けていた。  ユウキは赤面してから、化粧崩れと衣服の乱れに気づいて、更に赤面してうずくまった。  小学生の俺は、たぶん某ネズミがマスコットの会社の映画を見たんだろう。  アラビアンな魔法のじゅうたんが出る奴。  それで『魔法のじゅうたん』とか訳わからないことを口にしたんだ。  ただ、ませた小学生だよな。  大学生の今では、そんなに格好良いことを言うと、冗談きついと、ツッコミを周りから食らうだろう。  僕を信じて。そうしたら、新しい世界が見えるよ。  小学生が言うのと、盛りのついた大学生が言うのでは、天と地の差がある。
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