第3話 あの夏の懐かしい遊び

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第3話 あの夏の懐かしい遊び

 自転車を1列にしてこいで、近くの河川敷に行った。  あいにく、バスケットボールコートは満員御礼だ。  俺たちは顔を見合わせて、残念そうに小さく笑い合った。  その遊びが出来ないなら、別の遊びを始めるのが、あの頃の流儀だ。  河原に下りて、2人で石切りを始める。 「へぇぇ。キョウくん、今でも石切り上手いね!」 「しゃがんで下から覗き込むなよ。その目が、その、その!」  ユウキが上目遣いで俺を見ている光景。昔もあったはずなのに、可愛い女の子の容姿なもんで調子が狂う。  動揺して投げた石は、縦回転でボチャンと音を立てて、すぐに川面に消えた。  2人で腹を抱えて笑った。  これは、他人が言う中二病より、もっと幼い遊びだ。  中二病と隠してしまうこともなく、小学生のように惜しみなく恥ずかしさを前面に出していくスタイルだ。
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